研究内容

デザイナー酵素の創製

研究の概要

デザイナー酵素とは、特定の化学反応を触媒できるように人為的に機能を改変した酵素のことです。これにより、金属触媒や有機触媒といった一般的な触媒では難易度が高く、実現が困難とされる反応を、酵素を使って効率的に制御することが可能になります。そのため、自然界が持つ「ものづくり」のメカニズムを超越し、より環境に優しい合成法を実現できる可能性があります。


最近では、革新的なタンパク質構造予測プログラムAlphafold2024年ノーベル化学賞受賞)が開発され、酵素の形に対する理解が飛躍的に進展しました。これにより、従来は難しいとされてきた酵素機能の人為的制御が現実味を帯び、今後さらに発展する分野であると確信しています。触媒のデザインという意味では、化学反応に習熟した化学者が果たすべき役割は大きいと感じています。


私たちの研究室では、特に天然物のバイオ合成の過程で見られるユニークな反応に着目し、「単純な原料から複雑な構造を持つ生成物への多段階反応の厳密な制御」や「分子間相互作用による触媒反応のスイッチング」など、特異な反応を触媒する酵素機能の人為的制御に向けた独自の方法論の開発に取り組んでいます


キーワード

酵素機能解析・機能制御、酵素特有の反応


習得できる技術

酵素の発現系の構築、酵素精製、微量分析、化学合成


代表的な論文

Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62, e202308881.

Org. Lett. 2021, 23, 2616-2620.

J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 12392-12395.